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バック・クレイトン・ジャムセッションBUCK CLAYTON JAM SESSION

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バック・クレイトン・ジャムセッション論

ロシアのアルメニア生まれのジョージ・アヴァキアンは、米エール大学を卒業後ジャズ評論の道に入り、特に古典的ジャズのレコード化に多大の業績を残しました。またポピュラー音楽を単なるシングル盤で録音するのでなく、LP盤へのシフトを推し進めました。

Buck Clayton Jam Session 1ジョージ・アヴァキアンはコロムビア・レコードの設立にも大きな力添えを果たしたのですが、当時ポピュラーはSPと同じサイズの10インチ盤が主流だったところを、12インチ盤のメリットを訴え、それを実現化したコロムビアはポピュラー音楽分野での最大のレコード会社となるに至りました。

1953年、アヴァキアンは、スウィング・ジャズを信奉しタレント・スカウトとしても手腕を発揮しているジャズ評論のジョン・ハモンドに、時代の流れに取り残されている有能なスウィング・ジャズ・ミュージシャンの演奏を、LPレコードの長時間録音という特性を発揮できる形でレコーディングすることについてアドバイスを求めました。

Buck Clayton Jam Session 2そして、ついに1953年12月14日、その第1回目の録音が行われました。そこに集められたのは、1930年代から活躍していたベテランと、スウィング・イディオムが理解できている若手ミュージシャン。グループのリーダーは、トランペットのバック・クレイトンでした。とりわけここで重要なことは、往年のカウント・ベイシー楽団で「オール・アメリカン・リズム・セクション」と称賛された、フレディ・グリーン(g)、ウォルター・ペイジ(b)、ジョー・ジョーンズ(d)と、カウント・ベイシーのフォロワーでもあるピアニストのサー・チャールズ・トンプソンを起用したことです。

アヴァキアンとハモンドは、彼らに制約のないジャム・セッションを展開させました。彼らはカウント・ベイシー・オリエンテッドのリズム・セクションに乗って伸び伸びと演奏し、中には20分を超えるものもありました。アヴァキアンはこれに編集の手を加えることもなく、LP盤に録音しました。(後年に一部編集されましたが)

このジャム・セッションは翌年にかけて数回行われましたが、このジャム・セッションをヒントにして、ジョン・ハモンドがヴァンガードのショウケース・シリーズの録音を開始したのが、2週間後の1953年12月29日でした。ハモンドのヴァンガード盤の音質が格段に優れていたためこちらの方が知られるようになり再版が数多く行われましたが、コロムビア盤の再版はほとんど行われませんでした。この1953年録音のバック・クレイトン・ジャム・セッションが今日、幻の名盤と呼ばれている所以なのです。

Buck Clayton Jam Session: Moten Swing /1953


Buck Clayton Jam Sessin: How Hi The Fi /1954


[Volume One]
Buck Clayton (tp, leader), Joe Newman (tp), Urbie Green, Benny Powell (tb), Henderson Chambers (ts), Lem Davis (as), Charlie Fowlks (bs), Sir Charles Thompson (p), Freddie Green (g), Walter Page (b), Jo Jones (d)
1. Moten Swing (12:39) 2. Sentimental Journey (13:49)

Same personnel except Henderson Chambers (tb) replaces Benny Powell, and Sir Charles Thompson (alto celeste)
3. Lean Baby (8:18) 4. The Huckle-Buck (20:12) 5. Robbin's Nest (17:50)

[Volume Two]
Buck Clayton (tp, leader), Joe Newman (tp), Urvie Green, Henderson Chambers (tb), Lem Davis (as), Julian Dash (ts), Charlie Fowlks (bs), Sir Charles Thompson (p, celeste), Freddie Green (g), Walter Page (b), Jo Jones (d)
1.Christpher Columbus (25:44) (Dec. 16, 1953)

Buck Clayton (tp, leader), Joe Newman (tp), Urbie Green, Trummy Young (tb), Woody Herman (cl), Lem Davis (as), Al Cohn, Julian Dash (ts), Jimmy Jones (p, celeste), Steve Jordan (g), Walter Page (b), Jo Jones (d)
2. How Hi The Fi (13:51) 3. Blue Moon (14:05) (March 31, 1954)

Same personnel except Coleman Hawkins (ts), Billy Kyle (p, celeste) and Milt Hinton (b) replases Woody Herman, Al Cohn, Julian Dash, Jimmy Jones and Walter Page on some passages.
4. Jumpin' At The Woodside (10:36)
(March 31, 1954 and Aug. 31, 1954. Edited version from two different sessions.)

Buck Clayton Jam Session: All The Cats Join In /1955

バック・クレイトンによるジャムセッションのアルバムは数多く市販されています(外部リンク)が、中でも隠れた名演奏と呼ばれているのが、この「All The Cats Join In」でしょう。1955年録音で、「Dickie's Dream」と同じ32小節形式の曲ですが、このスウィング感はなかなか他では得られないもので、中間派の愛好者にとって貴重な存在となっています。ぜひ記憶に残しておいてください。
パーソネルは、Buck Clayton(tp, leader), Billy Butterfield(tp), Ruby Braff(tp), J.C.Higginbotham(tb), Tyree Glenn(tb,vib), Coleman Hawkins(ts), Julian Dash(ts), Kenny Kersey(p), Steve Jordan(g), Walter Page(b), Bobby Donaldson(d) ですが、ここではウォルター・ペイジのウォーキング・ベースが躍動感のあるリズムに貢献しています。


Buck Clayton All Stars - Outer Drive 1961

最後に動くバック・クレイトンの映像を。Buck Clayton(tp) Emmett Berry(tp) Earle Warren(as) Buddy Tate(ts) Sir Charles Thompson(p) Gene Ramey(b) Oliver Jackson(d)
Recorded - Belgium, 1961