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ワン・オクロック・ジャンプ論ONE O'CLOCK JUMP

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One O'Clock Jump論

カウント・ベイシーといえば、テーマ曲の「One O'Clock Jump」です。この曲について小さな逸話を書いてみましょう。


ワン・オクロック


1.曲名はとっさの思いつき

カウント・ベイシー楽団のテーマ曲「One O'Clock Jump」の由来は、カンサスシティの「The Reno Club」からW9XBY局の深夜ラジオ・ライブ演奏をしていたとき、アナウンサーから曲名を問われて、ベイシーがとっさに時計を見て「1時のジャンプ」と答えたことによるものと伝えられています。


Count Basie and His Orchestra 1937

2.放送禁止用語

実はこの曲には本来の曲名がありましたが、放送にふさわしくない曲名だったので、ベイシーはあわてて別の曲名を答えざるをえなかったのです。本来の曲名は「Blue Balls」。これはきわめて下品なスラング(外部リンク)でした。

3.テーマ曲の変遷

カウント・ベイシー楽団のテーマ曲には変遷がありました。ベイシーが1935年にベニー・モーテンから楽団を引き継いだときは「Moten Blues」でした。そして間もなくハーシャル・エバンスの「Blue and Sentiental」に変更し、1937年にこの「One O'Clock Jump」を使い始めました。その後はこの曲がテーマとして使い続けられました。


Benny Moten's Kansas City Orchestra "Moten Blues"1935


Count Basie and His Orchestra "Blue and Sentimental" 1938

4.作曲者(クレジット)

One O'Clock Jump の作者はカウント・ベイシーとクレジットされていますが、正確には盟友のアルト・サックス奏者のバスター・スミスとギタリスト兼編曲者のエディー・ダーラムの協力を得ております。しかしバスター・スミスはバンドのニューヨーク進出へ帯同していなかったのでクレジットを取得する機会を失ってしまったのでした。

5.リフはチョコレート・ダンディーズから

One O'Clock Jump は12小節のブルース形式の曲ですが、後半のリフ部分は、チョコレート・ダンディーズの「Six or Seven Times」(1929)から引用されたものと言われています。


The Chocolate Dandies "Six or Seven Times" 1929

6.途中から転調

One O'Clock Jump は、当初「Fメジャー」で演奏されていました。ベイシーはこの曲をテーマにするとなったとき、ピアノのイントロ8小節部分とメインテーマは「Fメジャー」のままで、次のブラスのアドリブ・ソロから「Dフラット・メジャー」に転調したいと指示しました。バンド・メンバーは驚きましたがすぐそれに従いしました。そして現在もそのルールで演奏され続けています。一部にBフラットで演奏している楽団もありますが、市販の譜面によるところが多いのでしょう。

7.数多い演奏曲

PCに収録してあるベイシー演奏曲からこの曲を検索してみると約200曲がヒットしました。重複も多いようですが、ライブ放送録音のものが多いようです。ライブ放送の初めと終わりや幕間にアナウンスと共に演奏されており、従って短時間のものが多いようです。
ベイシーの晩年は、このテーマ曲をフルに演奏することがなくなりました。

8.名曲・名演奏として

ベニー・グッドマンは1938年のカーネギーホール・コンサートでこの曲を演奏しました。これは名演奏として高く評価されています。
また、ハリー・ジェームズは、1939年にちょっとアレンジを施して「Two O'Clock Jump」と題して演奏していることは有名です。クレジットがハリー・ジェームズとなっているところがニクイですね。
更に、1941年には「メトロノーム」誌の読者投票によるオールスターズでの演奏曲に選ばれました。


Benny Goodman live at Carnegie Hall 1938


Harry James and His Orchestra "Two O'Clock Jump" 1939


"Metronome All Stars" solos: intro Buddy Ritch(d) - Count Basie(p) - Charlie Christian(g) - J.C. Higginbotham(tb) - Coleman Hawkins(ts) - Cootie Williams(tp) - Benny Carter(as)  - Harry James(tp) - Benny Goodman(cl) 1941/01/16 NY

JLCO: One O'ClocK Jump

再掲しました。Jazz at Lincoln Center Orchestra の最新映像です。これに勝る楽しい演奏はありません。


(2019/04/15)